薬剤師の認定資格にはどんな種類がある?取得のメリットも紹介!

病院薬剤師の仕事とは?

「薬剤師に役立つ資格」と聞くと皆様は何を思い浮かべますか?おそらく多くの方は最初に「認定薬剤師」を思い浮かべるのではないでしょうか。
今回は薬剤師として活躍される方が活かせる認定資格についての概要や種類などについてまとめていきたいと思います。
資格取得に興味のある方や、これから取得を考えている方の参考になれば幸いです。



【認定薬剤師とは何?】

ご存じの方も多いかと思いますが、初めに「認定薬剤師」について簡単に記載いたします。
「認定薬剤師」とは、認定薬剤師制度による一定期間の研修や実技を通して、資格ごとに定められた条件(単位取得など)を満たし、最新の知識や技術を保有していると認められた薬剤師のことを指します。
例えば「がん薬物療法認定薬剤師」を保有している薬剤師であれば、資格名の通り、がん薬物療法における最新の知識及び技術を保有している薬剤師だと判断する目安になります。

薬剤師が活かせる資格を分けると大きく分けると「認定薬剤師」「専門薬剤師」「その他資格」の3つに分類することができます。それぞれについて簡単にまとめてみたいと思います。
① 認定薬剤師
薬剤師の活かせる資格として最も一般的に知られているのが「認定薬剤師」です。
かかりつけ薬剤師制度が導入されて以降、かかりつけ薬剤師となるために「認定薬剤師を取得している」ことが条件の一つとされるようになり、認定薬剤師を取得される方もかなり多くなりました。
認定薬剤師とひとくくりに言っても、現在複数の認定団体より20種類以上の認定資格が用意されております。団体や認定資格により研修内容、認定機関など異なる部分はありますが、大まかな流れはある程度同じである場合が多いです(資格取得の流れは後述)
また、資格によって研修の有無や特定の業務経験が一定期間以上必要といった取得条件も様々です。認定資格取得を検討されている方は、先にご自身が認定資格取得条件を満たしているか(満たすことができるか)確認をしたほうが良いでしょう。
薬剤師の方が資格取得をされる際、ほとんどの方が最初に取得するのがこの認定薬剤師となるのではないでしょうか。薬剤師が取得する資格の中で最も一般的かつ、取得している人数の多い資格と言えるでしょう。

② 専門薬剤師
専門薬剤師については前出の認定薬剤師と似た資格ですが、主に認定薬剤師と比べより特定の専門分野において、高度な知識と技術を持った薬剤師と示すことのできる資格です。

例えば「感染制御専門薬剤師」の認定申請をする条件として「感染制御認定薬剤師」を有していることが条件の一つとなっているケースが多いです。
加えて取得条件の一つに学会での発表や論文における筆頭著者であることが含まれていることがほとんどであることからも、より高度な専門知識、技術を有していることが求められることがわかると思います。

一部例外はあると思いますが、一般的には○○認定薬剤師→○○専門薬剤師とランクアップするイメージのことが多いです。

③ その他資格
上記①、②については最初に思い浮かぶ薬剤師が活かせる認定資格ですが、それ以外にも薬剤師と関連性の高い認定資格なども多数あります。
例えば「食生活アドバイザー」であれば、薬と合わせて食事面からのアドバイスに説得力が増します。「スポーツファーマシスト」であれば、スポーツで活躍している人が体調不良等で医薬品を使用しなければならなくなった際に、ドーピングの規約違反にならないよう相談を受けることもあれば、臨時講師としてドーピング防止の授業などを依頼されるようなこともあります。

多数の資格がある中で、何の資格を取得すればこれからの業務に活かせるのかご自身でしっかりと見極めたうえで取得する必要はもちろんございますが、少なくとも取得することでマイナスになる資格は存在しません。
とはいえ、受験費用や年会費など取得に際して費用も掛かるため、取得を検討しているものがある場合は実際にかかる費用なども事前に調べておくこともお忘れないようお気を付けください。




【認定薬剤師15選】

前項では認定資格について簡単にまとめてきましたが、本項では具体的な認定資格及び活かせる資格を見ていきたいと思います。
最初に前項で記載した「認定薬剤師」「専門薬剤師」「その他資格」に該当する資格の一例を表に記載しております。
表の中でも活かせる機会が多いであろう資格をそれぞれより5つピックアップして概要を以下に記載していきたいと思います。

「認定薬剤師」「専門薬剤師」「その他資格」に該当する資格 ※2022年12月時点 ファル・メイト調べ(一部新規募集を終了している資格も含む)

<認定薬剤師>
① 外来がん治療認定薬剤師(APACC)
従来のがん治療といえば入院治療のイメージがありましたが、最近では新たな抗がん剤などの登場により、外来で治療を受ける患者様も増えてきております。
そういった入院をせずにがん治療を受けられる方たちに寄り添い、医療機関と連携して安全な医療提供を行うことを目的として制定された資格です。
主にがん治療を受けている総合病院門前薬局などで活かせる資格です。

② 妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師
「日本病院薬剤師会」によって認定される資格であり、妊婦及び授乳婦における薬物療法に関して高度な知識、技術を持っていること。 また胎児、乳児に配慮した薬物療法を安全かつ有効に行うことができる薬剤師が認定されます。
主に産婦人科や小児科のある病院やその門前薬局などで活かせる資格です。

③ 小児薬物療法認定薬剤師
小児科領域において医薬品に関する専門的な立場から医療チームの一員として一定レベル以上の能力と適性を持っていることが認められる資格です。
主に小児科を扱う病院やその門前薬局などで活かせる資格です。

④ 在宅療養支援認定薬剤師
居住や施設などにおける薬物療法において適切な知識、技能などを備えた薬剤師として認められる資格です。 在宅療養中の患者様の状況に合わせて意思をはじめとした医療・介護従事者と連携し適切な薬物療法、円滑な在宅療養を実施することが求められます。
主に在宅を行う医療機関及び調剤薬局などで活かせる資格です。

⑤ 認定実務実習指導薬剤師
薬学部で行われる薬学生の実務実習において指導を行うことのできる薬剤師です。 特に薬学部では最新の情報に基づいた教育が行われているため、薬学生を指導するには最新の医薬品や医療制度などに関する情報を把握、理解していることが求められます。
主に実務実習を受け入れている病院や薬局などで活かせる資格です。

<専門薬剤師>
① 外来がん治療専門薬剤師(BPACC)
2021年に日本臨床腫瘍薬学会(JASPO)によって新設された資格であり、同薬学会が2013年に創設した「外来がん治療認定薬剤師」の上位資格という扱いの資格です。
「外来がん治療認定薬剤師」にて求められる能力に加え「薬局が病院と連携するために必要な実地業務に関する一定水準以上の知識・経験」が求められます。
主にがん治療を受けている総合病院門前薬局などで活かせる資格です。

② 感染制御専門薬剤師
日本病院薬剤師会によって認定される資格です。
感染制御に関する高度な知識、技術、実践能力により、感染制御を通じて患者が安心・安全で適切な治療を受けるために必要な環境の提供に貢献するとともに、 感染症治療に関わる薬物療法の適切かつ安全な寄与することを目的としております。
主に総合病院などにおいて肝不全や腎不全など感染症や合併症のリスクの高い疾病に対応する専門医を中心としたチーム医療において活かせる資格です。

③ 地域薬学ケア専門薬剤師
2021年に日本医療薬学会にて新設された資格です。
「幅広い領域の薬物療法に関する高度な知識と技能を用い、地域包括ケアなどの地域医療・介護等を担う多職種と協働し薬物療法を実践することで、 患者様に最大限の利益をもたらすとともに研究活動の実践ができること」が求められます。
厚生労働省の掲げる地域包括ケアシステムで求められる調剤薬局のあり方の実現に積極的な調剤薬局にて特に活かせる資格です。

④ 精神科専門薬剤師
日本病院薬剤師会によって認定される資格です。
精神疾患薬物療法に関する高度な知識・技術により、有効かつ安全に精神疾患患者様の治療および社会復帰に貢献できる薬剤師に認められる資格です。
主に精神科を扱う病院や調剤薬局などにて活かせる資格です。

⑤ 医薬品情報専門薬剤師
日本医薬品情報学会によって認定される資格です。
既出の特定領域に関する専門性を保証する資格とは異なり、医療施設、地域医療、教育、企業、行政における医薬品情報の活用を通じて 広く医薬品の適正使用を推進することを担う専門性を持つ薬剤師を認定する制度です。
病院、薬局などの医療機関はもちろんのこと、医薬品に携わる企業や教育機関などでも活かせる資格でしょう。


<その他>
① 公認スポーツファーマシスト
日本アンチ・ドーピング機構(JADA)によって認定される資格です。
日本薬剤師会協力のもと、スポーツにおけるドーピングを防止することを目的として、最新のアンチ・ドーピングに関する知識を有する薬剤師であることが認められます。 ドーピングは意図的に使用する場合だけでなく、風邪薬など処方薬および市販薬などにも規制対象成分が含まれている場合もあり、 競技者の意図しないドーピングなどを未然に防いだりもしています。
主に競技者や指導者からの相談時に活かせる資格です。

② 漢方アドバザー
日本技能開発協会より認定される資格です。
漢方の基礎知識から服薬方法など幅広く身に着けた方が認定される資格です。漢方アドバイザーは医療従事者以外の一般の方も取得ができる資格であり、漢方の基礎資格の一つと言えるでしょう。
同系列の認定薬剤師資格として「漢方薬・生薬認定薬剤師」があるので、より上位資格を求めるのであれば上記認定資格の取得をお勧めします。
主に漢方薬を扱う薬局やドラッグストアなどで活かせる資格です。

③ 予防医学指導士
予防医学・代替医療振興協会/日本予防医学会によって認定される資格です。
生活習慣病の発症予防など、病気になる前の予防を行うことでQOLの向上、健康寿命を伸ばすことを目的とした予防医学という分野において必要な知識を保有している方が取得できます。一般の方も取得可能な資格であるが、医療従事者の場合より活かせる機会の多い資格でしょう。
主にかかりつけ薬局や健康サポート薬局など患者様とのコミュニケーションを重視するような職場で活かせる資格です。

④ 日本糖尿病療養指導士
日本糖尿病療養指導士認定機構によって認定される資格です。
日本では成人の約6人に一人が糖尿病または予備軍といわれており、年齢が上がるとともに高まっていきます。 糖尿病治療を行っている患者様の体質や期間、合併症の程度、家庭環境など様々な要因を検討したうえで、患者様に適した生活指導を行うことのできる知識等を保有している方に認定されます。
薬剤師以外に管理栄養士、看護師臨床検査技師、理学療法士のいずれかの資格を保有している方が取得可能です。
主に糖尿病患者の多い病院やクリニックなどで活かせる資格です。

⑤ NR・サプリメントアドバイザー
日本臨床栄養協会によって認定される資格です。
近年では保健機能食品やサプリメントがより身近になり、日常的に利用する人も増えております。このような消費者に対し正しい情報を届け、適切なアドバイスができる知識等を保有している方に認められる資格です。
主にドラッグストアや保健機能食品を扱う薬局などにて活かせる資格です。


【認定資格を取得するメリットとは】

前項までは認定資格の種類などについて記載してまいりましたが、実際に認定資格を取得するためには単位取得のため一定以上の時間がかかることや特定の取得条件を満たすなど簡単に取得できるものではございません。
本項では認定資格を取得することで得られるメリットについて記載していきたいと思います。主に認定資格取得におけるメリットは次の3つが挙げられます。


1.かかりつけ薬剤師になれる
認定資格の一つに「研修認定薬剤師」というものがあり、調剤薬局においてかかりつけ薬剤師となるための条件の一つがこの認定資格を保有していることです。
かかりつけ薬剤師を保有していることでかかりつけ薬剤師指導料の加算が取れて薬局の売上により貢献ができ、企業によってはかかりつけ薬剤師となることで手当が得られる場合もあります。
2022年時点で5万人近くの認定者がおり、薬剤師にとって最も身近な認定資格ですが、今後も調剤薬局において重宝されていく認定資格の一つであることは間違いないでしょう。

2.年収・給与UPにつながる
企業によって手当制度が異なるため、一概に年収UPするとは断言できませんが、特定の認定資格を取得している場合に1000~10000円程度の範囲で資格手当として支給している企業や認定資格を 保有していることで賞与や昇給において優遇する企業もあります。

3.キャリアアップにつながる
認定薬剤師資格を保有していることで保有資格領域に関して一定以上のスキル、知識を保有している証明になります。 また資格を保有していることで学習意欲の高い方という評価を得られやすいため、保有していない方と比べて就業先での社内評価や転職時の評価を得やすい傾向があります。

【認定資格取得の流れ】

前項まででは認定薬剤師資格の主な種類や取得するメリットを記載してきましたが、実際に認定薬剤師の資格取得をする際にはどのような流れで取得をするのかを簡単にまとめてみたいと思います。
今回は一般的な取得スケジュールを以下に記載いたします。実際には取得する資格や認定機関などによって異なるため、取得予定の認定資格認定機関のHPなどでお調べいただくようお願いします。

1.研修に参加する
各認定資格を取得するために定められている必要な単位を取得する必要があります。単位は認定機関の指定する研修に参加することで取得することができます。
また認定資格によって単位取得だけで認定資格取得条件を満たす場合もあれば以下のように単位取得以外にレポートの提出や試験などが必要になる場合もございます。

【外来がん治療認定薬剤師 条件】

2.資格を取得する
取得条件を満たしたのち、認定機関に資格取得の申込を行います(認定審査料など費用が掛かるケースが多いです)
資格取得認定が認められると認定薬剤師としてとうろくされ、認定薬剤師証が発行されます。

3.更新のために必要な単位を取得する
認定薬剤師の資格は一度取ったら終わりではなく、認定資格を継続するために更新が必要となります。更新には3年ごとに30単位以上、毎年5単位以上の単位取得が必須となります。更新ができなかった場合、 最初から取得しなおしとなるので更新条件の確認及び更新のための必要な研修受講や手続き等はお忘れにならないようお気を付けください。


【認定資格を取得する際の注意点】

① 資格取得費用・更新費用の確認
基本的に認定資格を取得するためには申込費用など資格取得申請時に費用が発生します。 また更新のタイミングごとに更新費用なども発生する場合が多いため、認定資格取得においてどの程度の費用負担が生じるのかを事前に調べておきましょう。
なお、認定資格を取得するための手当てや保有している認定資格に対しての資格手当などを支援している企業もございますので、勤務先企業の福利厚生も確認しておくと良いでしょう。

② 更新手続きを忘れないこと
前項でも記載の通り認定資格にもよりますが一度、資格取得して終わりではなく、継続的な単位取得及び更新条件を満たしての更新手続きなどが必要となります。
更新に漏れてしまうと初回取得時同様に最初から行う必要が生じますので忘れないように気を付けましょう。

【まとめ】

認定薬剤師資格についてまとめてみましたがいかがでしたでしょうか。
昨今では認定資格を持っていること珍しいことではなくなってきております。 これまでの薬剤師転職市場においてこれまでの薬剤師不足に伴う売手市場においてはそこまで気にする必要は無かったかもしれませんが、 徐々に薬剤師の充足状況になり買手市場に変化しつつある薬剤師転職市場において、今後も企業、患者様から求められる薬剤師として 活躍し続けていくために積極的に認定資格取得を検討してみても良いのではないでしょうか。

また特定の認定資格を活かせる職場を探されている方、特定の科目に関する経験を積むことができる職場を探されたい方、 将来的にキャリアチェンジなどを検討されている方が下りましたらまずは以下よりお気軽にお問い合わせくださいませ!
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